COMP日記2:3日目(7-9食目)

・7食目・トマトジュース割り

トマトスープ的な味を期待して試してみたが、コンビニで買った容量250mmぐらいのやつだったので、ちょっとCOMPに対して量が少なすぎ、COMPの味に負けている。2本買うか、スーパーで1リットル入りのやつを買うべきだった。

 

・8食目・ペペロンチーノソース割り

ようは、COMPって甘いミルクシェイクなわけで、ミルクグラタンを何で味つければいいかという方向でアプローチすべき、と考えて、パスタソースで割ってみた。大正解。普通に「旨いミルク系コンソメポタージュスープ」みたいな味。問題としてはたぶん塩分摂取量が過多気味になっている点だが……「COMP」を飲まねばもっと塩分摂取していたはず……とかで逃げるか。

あとCOMPのシェイカーは熱湯を混ぜるのには向いてない。そんな使い方想定してないだろうから当然なのだが。ミキサーか何かを買うべきだな。

・9食目・ブドウ100パーセントジュース割り

グレープフルーツジュースだと思った!? グレープジュースでした! という謎のフェイントを自分にかけてみたが、やっぱり、容量350CCのコンプに対し、500mlの割り材では甘さを消しきれない。なんか駄菓子屋で売ってる粉末のブドウジュース飲んでる感じ。甘いのがOKな人なら十分飲めるだろうけど、自分としてはけっこうつらい。

■カフェイン欠乏症

COMP飲み始めてから妙な頭痛がしていたのだが、なんのことはない、単なるカフェイン切れであった。

COMPを飲む→ほかの飲み物=珈琲=カフェインを飲む量が減る

のコンボである。しかしこう、これが意外と致命的なぐらい、作業に差し障る。飯の時間を削ってカフェイン不足に悩む時間が増えました……では本末転倒である。

「正解」カフェイン中毒からの脱却を目指す

「不正解」エスタロンモカ等のカフェイン錠剤を服用する

という選択肢が思い浮かぶ。

どっちが正解かは明らかなのだが、「不正解」に引かれてしまう……。

カフェイン中毒は……怖いぞ……。

 

 

 

 

 

 

 

COMP日記1:1~2日目(1食目から6食目)

■3月5日1食目:COMPプレーン

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というわけで、初のCOMP。そのまま飲んでみた。

「うお、甘っ」っとにおいだけでびっくりするほどのきな粉のにおい。

味はというと、きな粉臭強めで粉っぽいマックシェイクというか、マックシェイク・粉ミルク味というか。「好きな人はいるかもしれないなー」ぐらいな感じ。

個人的にはあまりおいしいとは思えない(俺は甘い物がすごく苦手なのだ。飲み会でもみんなが〆のアイスクリームを頼む中、〆のハイボールとか〆のチューハイとか頼んでる男である。たぶん、なんらかの力によって、俺の甘い物への欲望は前Qという男に奪われ、ヤツの脂肪に変換されたのだと思う)のだが、けっしてこう、目をつむって鼻をふさいで決死の覚悟で飲む……ようなレベルではない。「まあ、普通に、飲める」、という味。

ともあれ、COMPは、ジュースとかスープとか、いろんなものを混ぜて飲むことを推奨しているので、いろいろと試してみることにした。

■3月5日2食目:COMPコーヒー

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甘い物は苦手なぶん、コーヒーは死ぬほど好きである。カップメンで飢えをしのぎつつ100g700円の豆を買うことはやめないぐらいに好きだ。

で、コーヒー割だが、牛乳多めのミルクコーヒーという感じ。粉っぽい甘さと相まって、まんま紙パックのコーヒー牛乳。

けしてうまい、もう1杯! というほど旨くはないが、飲んでいて苦にはならない味。これなら飲み続けられそうと思う。

3月5日3食目:COMP・コーンポタージュ割り

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3食目。夜食がわりにコーンポタージュ割り。

COMP社も推奨している飲み方でCOMPポタージュというらしい()。

割と楽しみにしていたが、COMPの甘さとコーンの甘さにが合わさってひたすら甘い味に。俺はむしろこの甘さをどう打ち消すかを試行錯誤していくべきだよなぁと思う。

あと、注意点として、COMP付属のタンブラーはおそらく熱湯を入れて振ることを想定していないので(どっかに注意書が書いてあったかもしれん)、熱で容器が膨張すると、シェイク中が外れやすくなるので注意を。お湯でコンプを溶かす際は別の容器をつかった方が無難である。

■3月6日4食目:COMPオレンジ

オレンジジュース割。

今、画像を並べてみたが、だいたいどれも似たような見た目なため、あんまり何枚も画像あげても仕方がないなーと思えてきたので割愛。

けして旨くはないのだが柑橘類パワーのおかげかそれとも、寝起きで喉が渇いていたせいか、これまでで一番飲みやすく飲めた。

果汁30パーセントぐらいのやつだったのでCOMPの甘みを打ち消し切れていないのは、まあ当然。次は100パーセントジュースで試してみよう。100パーセントグレープあたりが適切に見える。

■3月6日5食目:COMP中華スープ割り

昨日のコーンポタージュ割のリベンジとして今度はコンビニで売ってるフリーズドライの中華スープで割ってみる。コンプの甘みを中華スープの塩気で打ち消すのじゃー、という方向性。これは普通にうまかった。なんだろう、スープ粥とかそんな感じの味。

おそらく、コンプ本体は甘めの牛乳、もしくはミルク粥みたいなものととらえて割り材を選んでいけばいいのではないか。

とりあえず、今のところ、固形物が食いたいとかCOMP飽きたという感じはナシ。こんぐらい割り材でバリエーションつくれれば、「白米に飽きる」ということがないくらいには「COMP」に飽きるということもないんではないかなぁ……という希望的観測を抱いている。

さて今日の夕食はどうしようか……?

www.comp.jp

■(追記)3月6日6食目:COMPアイスティー割り

牛乳多めの甘いアイスティー。まあ予想通りの味。コーヒー、お茶系統で飲むならCOMPの量を減らして1日4食とかにしたほうがおいしく飲めるか。

いっそ、朝に1.5リットル分をつくりそれを1日かけて飲んでいくとか。いずれ試してみよう。

 

 

COMP日記0:プロローグ

飯を食うのが苦手である。

苦手というか下手というか。

別に酒の席でおいしいものをたくさん食べるのは好きである。大変すきである。

ただ、日常としての「飯」というタスクをうまくこなせない。スケジュール管理が絶望的に下手で、1日の予定すらまともにたてれないので、とにかく三食定期的に栄養を補給するというパターンさえきっちりつくれない。なのでこう、ライティングの作業がノリにのっているところで突如と空腹に襲われ、ふざけんな、今、忙しいんだ馬鹿野郎、とキレたりする。「飯を食わないと腹が減る」そんな基本的なことさえちゃんと理解していない。あと基本、ラーメンとかカレーとかジャンクなものが好きなので、栄養バランスとか超偏ってる。基本的に飯をつくるどころか食うのさえ面倒な男である(繰り返すが人と飯を食いに行くのは大好きなので、これからも積極的に誘って頂きたい)。

なので、米国でソイレントというこれだけ飲んでりゃオールOK!! という食品が出たときはこれは俺のためにつくられた食品だ! 俺始まった! と思ったのにさっぱり日本で発売される気配がなかった。個人輸入とかしようとも考えたが、いつ届くかわからない上、800円とか1000円とかするので、さすがに手が出せなかった。

ところが、そんな日本では、ソイレントを自作している人たちがいた。

http://andoo.hatenablog.com/entry/2015/06/07/155138

どうせ一人分つくるのも二人ぶんつくるのも同じだろうから、俺にも分けてくれるという人がいないものかと探していたら、「完全食を自作するwiki」というところの管理人の人が、自作した「XiNADA」というカッコイイ名前の完全食を販売していると知った。万歳……と思ったら、注文殺到で予約受付は終了していた……orz と思ったら完全栄養飲料COMP | 株式会社コンプ と名前を変えてクラウドファウンディングを始めていた。頑張れ、超頑張れ……ということで、クラウドファウンディング開始初日に申し込んだ。「COMP」は順調に資金を集めて、無事プロジェクトは達成となった。というかもう少しで目標の200万に達成しそうになったのでもう1口申し込んでキリ番ゲットした。やったZE

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そして3月の発送を今か今かと待ち望んでいたが、先日3月5日についに我が家に着いた。

万歳。

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というわけで、完全栄養食COMPと過ごす日々を記録していくことにしたい。

完全栄養食という言葉がどこまで真実かはわからないが、下手すれば1日何も食わないとかカップラーメン一杯とか3食ラーメンとか3食カレーとかやる人間であるから、どのみちこれ以上、不健康にはならんだろう。ならんはずだ。

そして株式会社COMPがマネタイズできずに事業を撤退してしまうと俺も大変困りそうなので、興味を持っていただけたら是非、下記からCOMPをお買い求め頂きたい(ステマ)。

www.comp.jp

「なろう」読者に薦める司馬遼太郎

前島賢の本棚晒し」で近々「司馬遼太郎ラノベ(キリッ」という記事を書こうと思っていたら、eBookjapanやAmazonで『坂の上の雲』や『竜馬がゆく』の半額セールが行われており、これがいつまで続くか分からないと言うことで、急遽、ブログで書くことにした。いずれ『本棚晒し』でちゃんと司馬作品を取り上げるための草稿だと思っていただきたい。

 

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というわけで「なろう」小説の読者は司馬遼太郎を読もう!

というか司馬遼太郎はなろう小説!

(……司馬遼太郎先生のファンには「ふざけんな!」と思われるかもしれませんが、新しい読者を獲得するため、大目に見ていただければ幸いです)

というわけで以下、「なろう」小説と司馬遼太郎歴史小説の共通点をあげつつ、娯楽小説としての司馬遼太郎小説、歴史小説の魅力を紹介したい。

1.俺TUEEE小説で主人公ageage小説

無敵のヒーローに感情移入/同一化し、その活躍を楽しむ、というのが「俺TUEEE」ラノベの楽しみ方のひとつだが、信長とか秀吉とかいった英雄となってあたかも自分が歴史を動かしていくような楽しみ方を味わえる点で、歴史小説というのは俺TUEEEものの要素を多分に持っている。

なかでも、司馬遼太郎小説がスゴイのは、登場人物の褒め方である。
「○○であるという点において、○○という人間は、日本の歴史においても空前にして絶後であっただろう」とか「この時、○○という男がいなければ後の歴史はまったく異なったものになっていただろう」とか「○○という才能をもった人間は、一民族の千年の歴史のなかに二、三人も現れればいいほうであって、日本史においては○○をのぞけばたったひとりしかいない。○○である」とか(全部うろおぼえである。ご了承いただきたい)、褒め方の主語がマジでデケェ。デカすぎる……!

で、小説であるからには、当然登場人物に感情移入するわけだが、読んでいるうちに、まるで自分が司馬遼太郎に褒められているような気になってくるのだ。

「空前にして絶後」とか「日本史上類をみない」とか「世界史的に見ても稀有な才能」とか「彼という男をもてたことはこの国の歴史にとって幸い」とか。これが麻薬的に気持ちいい。マジで自分が時代を動かした英雄か維新志士になったかのような気分が味わえる。もちろんそれは気のせいなので、読んだ勢いで友人に「日本のこれから」とか「今の日本社会は幕末(戦国)と一緒だ。俺たちは志士だ」とか語ったりしてはいけない。いけないったらいけない。あなたの黒歴史にあらたなる一ページが刻まれること請け合いである。

2.基本の世界観は一緒

なろう小説というのは基本トラックにひかれて死んで神様からチート能力をもらって異世界に生まれ変わって奴隷少女を買って冒険者ギルドに所属して……と基本の世界観や導入を共通化することによって抜群リーダビリティを確保しているとされる。なのでなろう小説を読めば読むほど読み飛ばしてOKなところが増え、爆速で読めるようになっていくという。

司馬遼太郎……というか歴史小説も同じである。たとえば戦国時代であれば、信長が今川家倒して斎藤家倒して武田家倒して明智にやられて、秀吉が明智やっつけて関白になって死んで関ヶ原で豊臣がオワコン化して家康が江戸幕府開いて……という基本の世界観はどれも一緒。だから一度、大まかな流れがつかめれば、どんどん説明を読み飛ばせるようになっていく。「ああ、こっちの家康は腹黒キャラだけど、こっちの家康はわりと正義の人なのね……」みたいな作品間の差異やアレンジを楽しめるようになるというのも、なろう小説とよく似てる。

司馬遼太郎は、そんな史実を原作とする歴史小説という二次創作群のなかでも超々々々々大手サークルみたいな存在であって、史実と並ぶ第二の原作レベルの存在感を得てしまっている書き手である。だから原作厨……じゃなかった真面目に歴史を勉強している人は、原作(史実)と二次創作(司馬歴史小説)と混同すんなと怒るわけだが、とにかく司馬遼太郎を読んでおくと、歴史小説というジャンルそのものがものすごく読みやすくなるのは確かだ。

3.基本連載小説

「なろう小説」は基本的に毎日更新することが望ましいとされているが、司馬遼太郎の作品も多くが新聞連載小説であり、望ましいどころか「毎日更新がマスト」という環境で描かれた。
そんなわけで「なろう小説」と同じく、その文体は作家にとって書きやすく、読者にとっても読みやすいものである。慣れてくると、ほんと、爆速で読める。

連載ということで共通点は多い。「なろう小説」では、この毎日更新というノルマを果たすべく、しばしばこれまでのあらすじを繰り返し繰り返し語るとか、些細な世界観の設定をながなが語り続けるといったページ稼ぎの手法がしばしば見られるが、おなじことは司馬遼太郎先生もしょっちゅうやっている。そして、この余談とか蛇足がめっちゃ面白い。

同じく、司馬作品には、しばしば伏線が無視されるとか、最初の構成からずれていくという問題があり、有名な伏線ぶっちの例としては、『坂の上の雲』の、「かれは心魂をかたむけてコサックの研究をし、ついにそれを破る工夫を完成し、少将として出征し、 満州の野において悽惨きわまりない騎兵戦を連闘しつつかろうじて敵をやぶった。」等があるが、「なろう小説」の読者ならこの程度は慣れっこであろう。

そうした脱線や予定違いがあってこその司馬作品であるわけで、その意味で「なろう読者」は司馬遼太郎の読者になるための訓練がすでに完了している。是非「司馬先生、いつまで火薬のウンチク続くんですか?」とか「司馬先生、あの、主人公誰でしたっけ、この話」とか、それを積極的に楽しんでいただきたい。

4.書き手と読み手の距離の近さ

「なろう作家」はしばしば感想欄などで読者と交流を繰り広げたりしている。
だが、司馬遼太郎小説はもっとすごいぞ。というのも先生の小説は「作者による一人称」という独特な形式で書かれており、しょっちゅう、「筆者はこの物語をどこから語ればいいか迷っている」みたいなぶっちゃけが入ったり、「この間、書いたことについて、読者からこれこれという指摘を頂いた」とか作中で補足や訂正を始めたりする。
その最たるものが名物、司馬タクシー。「筆者は、この戦いのあった○○にタクシーで訪れた」とか言って、タクシーの運転手さんと雑談を始めたりするのだ。
読者との距離感を巧みにコントロールして、語り手を身近に感じさせるという手法において、司馬遼太郎は「なろう」を先取りしていたのかもしれない(大嘘)。

5.司馬遼太郎はいいぞ

司馬遼太郎はしばしば偉い人が「人生の必読書」としてあげていたり「司馬史観」なんて言葉もあったりして、難しそうと敬遠している若い読者もいるかもしれないが、基本は娯楽連載小説である。だから是非、ライトノベル読者、なろう小説読者の皆さんも、「史実」を原作に書かれた「俺TUEEE二次創作連載小説」として司馬遼太郎先生の歴史小説に触れてみてほしい(副次的効果として、年上のおじさんとの話題ができるというものもある。ほんと、ちょっとビビるぐらいおじさんたち司馬遼太郎好きだから。多分、我々にとっての『ガンダム』ポジション)。

で、どれから読めばいいのよって話だが、現在、半額になっている本だと、幕末/維新/近代という流れで、比較的巻数の少ない『燃えよ剣』からはじめて、

竜馬がゆく』→『翔ぶが如く』→『坂の上の雲

と読み進めていくのがオススメだろうか。

あるいは半額になってないけど、戦国時代の方が好き、というのであれば、

国盗り物語』→『新史 太閤記』→『関ヶ原』→『城塞』

と、信長・秀吉・家康による天下統一までの流れを追ってみるというのはどうだろう?

あるいは『ガルパン』おじさんであれば、戦車兵・福田が、日本戦車をヤスリで削ったりするエッセイ集『歴史と視点』あたりからでもよいかもしれぬ。

まあ、とりあえず今、半額になってる分は全部買っておいて損はない。

司馬遼太郎はいいぞ。

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藤崎竜版『銀英伝』を読んだぞ。

というわけで、藤崎竜のマンガ版『銀河英雄伝説』を読んだぞ。

 

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自分はマンガ『封神演技』直撃世代なので(さらにいうと初の連載作品『PSYCHO+』も好きだった。あと、短編集に収録された「DIGITALIAN」というゲームっぽい雰囲気のファンタジーも大好きだった。)今回のコミカライズの話を聞いたときにはびっくりしたが、なるほど『封神演技』という古代のお話をSF的とも言えるようなガジェットを用いて現代的に語りなおしたマンガ『封神演技』と、宇宙版三国志であるところの『銀河英雄伝説』というのはアプローチとして近いわけで、考えてみれば納得の組み合わせである。

で、連載はおいかけていなかったので、今日、始めて目を通したのだが、お話は原作1巻のアスターテ会戦からではなく、幼少期のラインハルトがキルヒアイスと出会うところから始まる。
最愛の姉を皇帝に奪われ、士官学校を目指し……と、外伝で語られた過去編などを組み入れつつ、どうやら少年ラインハルトが一歩ずつ成り上がっていく、少年マンガ的な物語として『銀英伝』を語り直すようだ。

まさかオーベルシュタインの目が義眼なのは、幼少のラインハルトを助けて鮫に食われたせいだなんてびっくりしたし、1話のラストでラインハルトが、「銀河王に俺はなる!!!」どんっ! て叫ぶ所なんて、さすがジャンプマンガらしいアレンジだと思いました。嘘です。そんな話はありません。

ところで、『銀河英雄伝説』をどういう物語として読んでいるかって、人によって意外なほど違う。
たとえば僕はヤン・ウェンリーという上司に恵まれない不遇のオッサンが民主主義の理念と現実の乖離、上層部の腐敗に苦しみながら戦いを続けていく物語だと捉えていた。だもんで隣の友人が、ラインハルトがどんどん偉くなっていき、ダメダメな自由同盟と卑怯な地球教徒をやっけつける物語として読んでいたと知ってびっくりしたことがある。

ちなみに僕は、2回ほど7巻か8巻で読むのを止めてしまい、3度目のチャレンジでようやく最終刊まで読み切った……というぐらい、あくまでヤン・ウェンリーの物語として『銀英伝』を読んでいた。

そんなヤン・ウェンリー派&同盟派として、ヤンが本格的に出てくるのはまだまだ先だと思うと少々残念なわけですが、ラインハルト派&帝国派の視点から見た『銀英伝』が読めるというのは、これはこれで、貴重な体験なわけで、続きも楽しみにしています。

 

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「S20/戦後トウキョウ退魔録」読んだ。

というわけでノベルゼロ創刊ラインナップの一冊、伊藤ヒロ峰守ひろかず両先生による共著『S20』を読んだぞ。

 

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昭和20年代。未だ敗戦の傷痕が残る東京を舞台に、史実の影に暗躍する巨大な鉄人や金色の骸骨や妖怪たちの謎に挑む退魔師コンビを描く……というかこれ『コンクリート・レボルティオ』の前日譚と言ったら多分10人中9人信じると思います。

戦後をモチーフに偽史を語るというテーマといい、巨大ロボット、変身ヒーローや妖怪といった往年の名作へのリスペクト意識といい、びつくりするぐらいよく似てます。作家さんふたり、書いてる途中で、『コンレボ』見て頭抱えたんじゃないかしら?

んでもまるっきり同じかというとそうでもなく、怪獣や宇宙人や妖怪が存在するもうひとつの戦後史を語ってく『コンレボ』に対し、こっちは「妖怪たち超常の存在は人の記憶からは消えていくけど、うっすらと残ったその残滓が後のフィクションを生み出した」という形になっている。つまり僕らが知っているあの名作の元ネタとなった事件を描く、というのがこの『S20』。そんなわけで、あの有名作品の影にも、あの大ヒット作の裏にも、そしてあの有名作家の裏にも実はこの退魔師コンビがいた! という話であって、いわば伝奇&戦後史版『フォレスト・ガンプ』。

というかぶっちゃけていうと、カバーは超真面目だし、語り口は伝奇&歴史の重み溢れるシリアスなものですが……これあれです、シリアスな笑いです。だってこう、えんえん、戦後がどうのこうのとか書いてて、結局、最後だいたいダジャレなんだもん。いやもう、真面目な顔して「申す 裏谷 申す 裏谷」とか「雪男(イェーティー)」とか言ってんじゃねぇよ、笑い殺す気か!なんつーか、この懐かしのアニメマンガ特撮ネタ&ダジャレ&強引なこじつけ&真顔の語り口って、荒山徹先生から柳生と朝鮮妖術師抜いて戦後史ぶちこんだら、この作品になるんじゃないかしらって感じ。

『コンクリート・レボルティオ』が「架空の日本における映像の20世紀」みたいなシリアスよりだとしたら、『S20』は史実をネタにどれだけ真顔で大ボラをふけるかをふたりの芸人もとい作家が競い合う「戦後史ネタ大喜利」みたいなノリです。そういう意味で、伊藤ヒロ峰守ひろかずというライトノベル作家ならではの、一見シリアスでけども実は笑いに満ちた作品だと思います。

 実は不勉強で峰守ひろかず先生の作品はあまり読み込めていないので過去作との比較はできないのだけど、伊藤ヒロ先生のパートに関して言えば、なんというか『魔法少女禁止令』や美少女ゲームのシナリオで見せるマニアックなこだわりと、『女騎士さん、ジャスコ行こうよ』なんかで見せる「ちょっとおまえもう少しまじめにやれよw」という底抜けのいーかげんさが、ひとつの作品の中で同居して+αを生んでおり、個人的には伊藤ヒロ作品のなかで一番気に入りました。

 そんなわけで『コンクリート・レボルティオ』のファンはもちろんですが、「真面目な顔で大ボラを吹く」お話が好きなら是非オススメです。

 

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